森田療法は、高知県出身の精神医学者、森田正馬先生によって創始された神経症の治療法です。
強迫神経症、恐怖症、心気症、不安神経症などに劇的な効果を発揮します。臨床経験を積む中で、
薬も何も使わず、2~3ヶ月の外来、あるいは入院治療で何年も悩んできた神経症が良くなっていく
様子を見るに連れ、森田療法が非常に大きな武器となることを感じておりました。
森田療法の治療方法

森田療法には、大きく「入院療法」と「外来療法」の2つがあります。森田療法は元来、入院療法が基本でしたが、入院先などの問題もあり、最近では通院治療(外来療法)が中心になりつつあり、当院でも通院による治療を行っており、日記指導による治療が中心になります。また、森田療法の自助グループである、生活の発見会などの集団学習会を活用する場合もあります。
日記指導について
日記指導は、主としてその日の行動の記載をします。ポイントとしては、毎日の行動の事実を中心に記載し、その時の感情や気分にとらわれないように注意します。そして毎日の行動を日記につけ、次回の受診時に見せて頂き、医師の立場からコメントを加え指導します。
また、最近の日記療法には、伝統的な森田療法のそれとは異なるやり方も実践されています。例えば治療を始めるに当たり、患者様に「どんなことであっても、それが症状であっても、不満であっても、怒りであっても、感じたままに書くこと」をお勧めします。それは、その患者様が様々な感情を中心に、行ったこと、考えたことなどの体験を一日の終わりに振り返り、それを見つめて、主体的に書くことを重視しているからです。
日記指導の意味と効果

- 悩んでいる方にとって、その日の夕方に日記をつけるということは、その日の出来事を振り返り、みずから内省する契機となります。
- 主体的にご自分の不安、感情を自分なりに受け止めて行こうとする態度を助長します。
- 医師との日記を通したやりとりは、自己理解を深め、不安などの感情を受け止め、それを消化し、自分のあり方を修正する原動力となります。
- 記録として残るので、患者様は医師の日記のコメントを何回もくり返して読むことが可能となり、そこから十分時間をかけて自己修正ができます。
自助グループや体験フォーラムの活用について
外来治療の他に、補助的に活用して効果をあげる第三の治療法として、自助グループやインターネット掲示板を活用した体験フォーラムなどの相互扶助組織があります。これらは、共に森田療法を学び克服した方たちが、ボランティア精神を発揮して自主的に、自らの経験や意見、アドバイスを今現在悩む方々に伝え、相互に意見交換をしながら、悩みの克服に役立てるものです。
実際に悩み、克服した経験に根ざしているため、相互理解も得られやすく、現在悩んでいる方も、相談しやすい等のメリットがあります。